ドバイのパブリックビューイングと炎の「アンカツ差せ!」コール

グリーンチャンネルが映らないので、新宿でドバイワールドカップパブリックビューイングを見てきた。ゲスト解説の丹下日出夫、辻三蔵の両氏にあまり海外競馬に関する知識がないらしく、馬名は間違えまくりで馬もよくわかってなかったようで、俺ですら知ってる前提知識がかなり抜けていたのは残念だったなあ。次やるとしたら、もっと海外競馬通の人をゲストに呼んだほうがいいんじゃないか?ってアンケートに書けばよかったなーと今思ったんだけれど、アンケートには「れっちかわいい」とか書いて終わらせた気がする。
さて、肝心のレースのお話。
会場についてすぐにグロリアスノアゴドルフィンマイルの発走。力のある馬だと思うし、フェブラリーは後方から行って大外回すというどう考えてもエスポワールシチーを捕えられない競馬だったので、割と期待してた。道中は馬群に包まれて揉まれまくり、直線向いても手応えが怪しく、根岸ステークスみたくスパッと抜け出してくる気配はない。会場はすぐに諦めムードになっていたけど、俺は結構ずっと「まだまだ!ここから差せ、もってこいあきらめんな!」みたいなことを叫び続けていたら、グロリアスノアは最後までしぶとく伸びて4着と健闘。会場からは拍手が巻き起こる。
その後のグロリアスノアの管理調教師の矢作師のインタビューが良かった。健闘した弟子である乗り役の小林慎一郎騎手を褒めることなく「あれで満足しちゃダメだ」というような趣旨の言葉を連発。コバシンは本当に良い師匠を持っているよ、俺も矢作師かなり好きになったよ。
ゴドルフィンマイルの次はUAEダービー。スミヨンきめぇの一言。内から凄まじい抜け方をしてきて、でもやっぱり危ない乗り方だったから怒られてたらしい。
G1のスタートはゴールデンシャヒーン。栗東坂路大将のローレルゲレイロが出走、脚質・馬場など考えてこの馬に一番期待をしていた。ゲートが開くとテンポ半分くらい遅れてのスタートで、ハナを切りたいのにいきなり挟まれた状態に。そこからグイグイと割って出ていってハナを奪うあたりはさすがといったところか。三角〜四角先頭で直線入ってもまだ抜け出すかという勢いがあったんだけれど、世界のトップホースに一気に前に出られてしまう。それまで「そのまま!」だった会場の空気も明らかに沈んでいくのがわかった。だがしかし! まだあきらめんな! もう一伸び! そこからちゃんと失速せずに4着をキープしたのはさすがの一言。決勝戦手前あたりで会場も再度加熱し、最後は拍手が巻き起こる。っていうかちょっと差されたくらいで熱冷ましちゃもったいないだろ、せっかく金払って見に来てるのに。
で、そのゴールデンシャヒーン直後の藤田伸二騎手のインタビューがこれ。機嫌悪すぎわろた。

インタビュアー「藤田騎手来ていただきました。まずレース回顧の前に、パドックでまたがった感じを教えてください」
藤田騎手「まあいつもと一緒ですよ、うん」
「悪くはなかったですか?」
「いつもと一緒ですって」
「スタートですが、ちょっと最近の競馬見てると、いつもほどスッと行けない感じに思うんですが」
「だからもう、それが俺もわからんよね、乗っててもね。まぁ……、俺もわかんねぇから(笑)」
(インタビュアーも笑う)
「全然いかないからねぇ、スムーズに。スタートしても全然進んでいかないしさ。」
「なんとか逃げる形にはなりましたが、直線向いてすぐ捕まったけれど、その後よく粘ってたと思うんですが」
「いやもう、粘ってるもなんも楽に行って、楽に馬なりでどこまで粘れるかって馬が、馬の本来の姿やからね。それが、ここ何走かできてないということはね、やっぱりスタートからズブくなってるから。やっぱり年齢も重ねてくるたびにズブくなってきてるのかなと、思うしかしゃーないもんね」
「そういう状態だと、オールウェザーがどうとか、そういうまでもわからないという感じですかね」
「日本でもポリトラックあるんだからね、別にオールウェザーがどうのこうのというのはまったく気にもしてなかったし、走りにくいかと言えばどっちかというと走りやすいほうでしたよ」
「藤田騎手に対する声援もこちらにも飛んでましたが、日本で応援していただいているファンの皆様に最後メッセージをお願いします」
「その件に関しては今日はすごい嬉しかったし、なんとかと思ったんですけどね。思った以上にゲレイロらしいスピードを見せてくれなかったのがね、こっちとしてはちょっと残念でしたね」
「ありがとうございます」
「はいどうも、ありがとうございました」

ああいう負け方をして機嫌よくインタビューってのも変だし、誰よりも悔しかったのは藤田騎手なんだと思うと、まあこんなもんか、とも。矢作師と藤田騎手と続けて「勝ちたかった」という気持ちを見せられて、やっぱり勝つためにドバイに行ってる人たちなんだなと胸熱に。

次はドバイデューティーフリー。今年は日本調教馬の参戦はなく、ゆっくり眺められる。このDDFと次のシーマクラシックは会場の勝ち馬予想クイズプレゼントがあるらしく、せっかくなのでPresvisに投票してみた。が、乗っていたルメールが直線で何度も何度も前を詰まらせて、会場で一人だけ「ポルトフィーノ思い出した」とか言って大笑いしてた。あれは日本だったら「ヘタクソ!」とか怒号飛ぶレベルw

そしてドバイシーマクラシック。無難にスタートを決めたブエナビスタは、道中では中団後方の馬群の中。終始フラフラ走ってるのが画面に映し出され、大丈夫か、大丈夫かと思いながら見てた。直線でも一気の伸びで抜け出すというシーンはなく、ジリジリと伸びてはいるものの取りたい進路が次々にブロックされていく。DDFのルメールのような詰まり方というよりは、ブエナビスタに瞬発力がないから塞がれてしまうといった感じか。それでもこじ開けて進路ができた時には既に遅し、なんとか2着を確保するのが精一杯。辻三蔵が「ペリエのやろー」とか憤っていたけれど、俺はあれはあれで正解だと思う。もう少し抜ける脚が使えていたら、ブロックされていた場面も綺麗に捌いて進路を作れていたはず。計算違いが悪いっちゃそうなんだけれど、俺も「抜けられる」と思ったシーンで「あれっ」となったから、乗っていたペリエもたぶんそうなんだと思うね。
しかし、最近はレッドディザイアオーバーウェイト事件のせいで、日本ではすっかりペリエにデブキャラ・ウザキャラが定着してきたみたいだ。凱旋門賞の前に1回日本で乗りたいってことは、ペリエは依頼があれば宝塚に乗りにくるってことか?

最後はメインイベント・ドバイワールドカップ。前哨戦の勝ち方からレッドディザイアにはそれなりに期待していたんだけれど、ジオポインティだとか「聞いたことあるなー」とは思っていた馬の成績を改めて聞かされて「やば、このメンバーに勝ったらレッドディザイアまじ伝説だわ」という結論に。まあ、そういう馬が集まるレースだろってのはそうなんだけれど。レースでレッドディザイアは中団前めの外に位置取り、直線では外に。進路が開けて「こっから突っ込んでこい! スミヨン!!!!!!」となったところで脚がバッタリ。わーわー言ってた会場の雰囲気が一気にしぼむのが痛かった。結局レッドディザイアは良いところなく11着という結果に。
パドックでのテンションの高さや、松永幹夫調教師の「状態をキープ」というインタビューあたりから、なんとなく「おいおい大丈夫か」という雰囲気はあったんだけれど、差して頑張って最悪でも4着くらいには突っ込んでくるんじゃないかと思っていただけに、ちょっとショックかな。勝ったグロリアデカンペオンもマクトゥームチャレンジラウンド3で負かしている相手なだけに、より一層。
ちなみにこのレース、外からゴール前強襲したリザーズディザイアのシーア騎手が勝ったと勘違いしてガッツポーズ&ウイニングランを敢行。しかしその勝利は幻に……ということになって、ロッカールームみたいなところで蹴っ飛ばされてる映像が流れていた。そもそも、どっちが勝ったかわかんないのに3着馬の騎手が「勝ったのはお前だよ!」という感じでシーア騎手を指差したのが原因だと思うんだが。あのルーレット恐怖だわ。


グリチャ放映が終わったら、パブリックビューイング会場ではプレゼント抽選会。割とどうでもいいプレゼントもあったんだけれど、ペリエのジョッキー列伝ポスターは本気で欲しかった。辻三蔵と丹下日出夫から私物のプレゼントもあって、辻三蔵からはアルティマトゥーレシルクロードステークス優勝記念クオカード。丹下日出夫からはナリタブライアンのダービー優勝記念テレカ、ディープインパクトのダービー優勝記念クオカード、あと1つはなんだっけか忘れたけど最近のもの。結局どれも当たらなかった。


さて、あれだけ気合入れてドバイワールドカップを見ていたんだけれど、やっぱりなんだかんだ馬券が絡んでいたほうがよりエキサイトするなっていうのが今週思ったこと。ブエナビスタへの差せコールよりも、高松宮記念で最後ビービーガルダンが突っ込んできた時の「アンカツ差せ!」の連発のほうが明らかにエキサイトしてた。いや、だってあそこのハナ差が入れ替わるだけで天と地ほどの違いがあるんだぜ。
海外遠征中継も楽しいことは楽しいんだけれど、どこか他人事というか、勝っても負けても俺の生活は何一つ変わらない、という気持ちになってしまうのはしょうがないことなんだろうか、と少し思ってしまった。ただの博打狂いに調教されてしまったんだろうかねぇ……。

今週の競馬ネタ

土曜阪神7レース

3番レジェンドブルーの浜中俊騎手が7頭立てで前を詰まらせて負ける。
なお、筆者調べの日本記録小島太の6頭立てで前を詰まらせて負ける、となっております。

日曜中京1レース

実況担当山本直也アナ、四角回って最後の直線走路での実況について審議の青ランプ。
山本アナ「4コーナーから直線へ。内に入ったのはシゲルネゴヒメ、あっ違う、内に入ったのはティファニーテイスです!」
直也ェ……。