2012年度JRA賞 雑感

2012年度のJRA賞が発表された。
「2012年度JRA賞」決定!年度代表馬はジェンティルドンナ号!

年度代表馬 ジェンティルドンナ(256票)

年間でG1を4勝や牝馬三冠という字面よりも、オルフェーヴルと文字通り真正面から*1ぶつかって競り落としたJCが高く評価されての受賞という感じがする。ジェンティルドンナ秋華賞ヴィルシーナに負けていたとしても、年度代表馬ジェンティルドンナであっただろう。それほどまでに、あのJCは印象深いレースだった。
一方で21票を集めたゴールドシップも、例年であれば年度代表馬級の大活躍。一度もジェンティルドンナとぶつかることはなかった分、生まれた年が良くなかったという言葉を贈るしかない。
オルフェーヴルも11票を集めた。上半期のグダグダはあったものの、終わってみれば宝塚記念制覇に凱旋門賞2着とJC2着。エルコンドルパサー凱旋門賞2着を評価されて年度代表馬となった13年前と違い、今は2着に食い込むだけで大きな功績と評価される時代ではないということか。
ロードカナロアの1票も、凱旋門賞より勝つことが難しいとも言われた香港スプリントの制覇を大きく評価しようという弥永明郎氏(デイリースポーツ・東京)の心意気が伝わる。

最優秀2歳牡馬 ロゴタイプ(241票)

朝日杯勝ち馬が受賞するという既定路線。加えて、エピファネイア29票、コディーノ17票、該当馬なし2票とラジオNIKKEI杯勝った馬、朝日杯で負けたけどそれまで強かった馬、何が強いのかわかんねーと該当なしに票が割れるという特筆すべきこともない日常の光景。

最優秀2歳牡馬 ローブティサージュ(288票)

阪神JF勝ち馬というこちらも既定路線も、惜しくも該当馬なし1票。2歳はそもそも半年しか判断する期間がないってのがね。

最優秀3歳牡馬 ゴールドシップ(289票・満票)

こちらはゴールドシップが満票で受賞。文句なしの実績で年度代表馬でもおかしくないくらい。ダービー勝ってないのでディープブリランテに数票入るかなと思ったがそんなことなかった。

最優秀3歳牝馬 ジェンティルドンナ(289票・満票)

ジェンティルドンナが満票で受賞。これはさすがにジェンティルドンナ以外に投票対象がいない。

最優秀4歳以上牡馬 オルフェーヴル(273票)

スプリンターズS香港スプリントを制したロードカナロアが受賞するのではという見方もあったが、蓋を開けてみればオルフェーヴルが圧倒的だった。ロードカナロアは14票。この件、香港スプリントの価値判断というよりは短距離馬を最優秀4歳牡馬に選出する空気が記者の間にはないのが理由であると思う。
井上達也氏(デイリースポーツ・関西)が唯一エイシンフラッシュに投票。まあ、気持ちはわからんでもない。

最優秀4歳以上牝馬 カレンチャン(177票)

G1を1勝と2着1回が評価されてカレンチャンが受賞したが、やはり票が割れた。
牝馬の最高峰をエリザベス女王杯と位置づける向きが多く、それを制したレインボーダリアには75票が集まった。しかし、夏まで準オープンを走って重賞で馬券になるわけでもなく、まさにポッと出のレインボーダリアよりはシーズンを通して活躍したカレンチャンの印象度がやはり優っていたということか。牝馬は牡馬よりも短距離での活躍が評価されやすい、というのも表れている。
G1勝利のないドナウブルーに3票集まったのは、妹のジェンティルドンナの影響だろうか。重賞2勝とヴィクトリアマイル2着とマイルCS3着で、十分な実績を積み上げてはいるが、もうワンパンチ足りなかった。
ヴィクトリアマイルの勝ち馬ホエールキャプチャにも3票。春の実績から秋はスターダムに上り詰めるのかと思いきや、3戦とも二桁着順。牝馬は難しい。
パッとしない古馬牝馬勢への投票の中に、ミラクルレジェンドへの票も。1票ではあるが、JBCレディスクラシックなど交流重賞3勝、いずれも強い内容というのが評価されてのものだろう。ただ、やはりダート戦・地方交流戦は高く評価されない。
該当馬なしへの30票も、今年はやむなしであるかなと。

最優秀ダートホース ニホンピロアワーズ(219票)

JCダートを最高峰であるというコンセンサスが取れているらしく、それを制したニホンピロアワーズが最優秀ダートホースを受賞。JBCクラシックを制したワンダーアキュート(5票)との票差を見ても、やはり地方交流重賞JRA賞という観点ではあまり評価されないようだ。
ローマンレジェンドが44票。昨年末からの6連勝の内容と、JCダートで負けはしたものの東京大賞典で改めて力を示したのが評価されたのだろう。東京大賞典が終わる前に、有馬記念が終わったら筆入れをしてしまう記者も多いと聞く中でもこれだけ票を集められたのだから、強いと思わせるレースぶりや連勝などで潜在能力を秘めてそうな感じも1つの評価軸なのだろう。
エスポワールシチーへの4票は、かしわ記念南部杯の2つの交流Jpn1を勝利していることが、大レースを1つしか勝っていない上記の馬と比較して評価されたのだろう。往年の無双感はなくなったが、トランセンドスマートファルコンフリオーソとかつての強豪が引退する中まだまだ健在というのは恐れ入る。
実況アナウンサーの舩山陽司氏からゴルトブリッツに1票入っているのは、健在であれば間違い無く秋もG1戦線で活躍をしていたであろうとわかる帝王賞のレースぶりが評価されてのものだろう。
該当馬なしに16票。確かにまだまだ群雄割拠という様相は否めないが、もう少しこの数は減って欲しかったかな。
そして、テスタマッタへの投票がゼロなんですが、フェブラリーS以外でもそこそこの実績は残していたのに、やっぱり2月のG1の勝ち馬が秋に顔を出さないと印象が薄くなるんだろうなぁ。

最優秀障害馬 マジェスティバイオ(156票)

今年一番の激戦区。中山大障害が障害の最高峰という風潮がある中、その勝ち馬マーベラスカイザーの121票を抑え、中山グランドジャンプでのぶっちぎりの競馬を見せたマジェスティバイオが受賞。マジェスティバイオは大障害でも力負けというよりは、スムーズなレース運びができなかった印象があったのでそれも有利に働いたのだろうか。
エムエスワールドにも1票。高田潤騎手の復帰戦の小倉サマージャンプで鮮やかな勝利、という印象深いレースがあったからだろうか。投票者は、投票内容非公表の中に含まれるため不明。
該当なし11票。

【番外】実質JRA賞出口調査的なサンスポのプレ選考

今年のJRA賞が発表される前に、サンスポで面白いことをやっていた。「予想王TVアワード」と称し、自社の記者にJRA賞と似たような部門分けで「年度代表馬」や「最優秀」のアンケート結果を公表していたのだが、サンスポやエイトの中にはJRA賞の投票に参加する記者も多いため、実質これがJRA賞出口調査となった。
予想王TVアワードも年度代表馬ジェンティル!


年度代表馬、最優秀4歳以上牡馬、最優秀4歳以上牝馬をサンプルに得票数と得票率を票にしてみたが、2013年度も同じ事をやるのであればまた信頼して良いのではないかという結果になった。

項目 馬名 JRA票数 サンスポ票数
年度代表馬 ジェンティルドンナ 256 89% 47 71%
年度代表馬 ゴールドシップ 21 7% 7 11%
年度代表馬 オルフェーヴル 11 4% 4 6%
年度代表馬 ロードカナロア 1 0% 2 3%
古馬牡馬 オルフェーヴル 273 94% 54 82%
古馬牡馬 ロードカナロア 14 5% 3 5%
古馬牡馬 エイシンフラッシュ 1 0% 1 2%
古馬牝馬 カレンチャン 177 61% 27 41%
古馬牝馬 レインボーダリア 75 26% 16 24%
古馬牝馬 ドナウブルー 3 1% 0 0%
古馬牝馬 ホエールキャプチャ 3 1% 2 3%
古馬牝馬 ミラクルレジェンド 1 0% 2 3%


少し砕けた感じのアンケートという体は取っているが、もう完全に出口調査ですよねコレ。

*1:真横からだが