2015牡馬クラシック賞金争い〜共同通信杯終了時点

共同通信杯終了時点での牡馬クラシック路線賞金ランキング

順位 馬名 収得賞金 賞金加算オープン競走
1 ダノンプラチナ 4400 朝日杯
2 シャイニングレイ 3650 ホープフル
3 ベルーフ 2750 京成杯
4 ベルラップ 2500 京都2歳
5 グァンチャーレ 2250 シンザン
5 リアルスティール 2250 共同通信杯
7 タガノエスプレッソ 2200 デイリー杯
7 コメート 2200 ホープフル2着
9 クラリティスカイ 2000 いちょう
9 サトノクラウン 2000 東スポ
11 ミュゼスルタン 1900 新潟2歳
11 ブライトエンブレム 1900 札幌2歳
13 ダノンメジャー 1850 野路菊、京都2歳2着
14 コスモナインボール 1700 アイビー
15 アヴニールマルシェ 1650 新潟2歳2着、東スポ杯2着
15 ポルトドートウィユ 1650 きさらぎ2着
15 ドゥラメンテ 1650 共同通信杯2着
18 アダムスブリッジ 1400 若駒
19 エイシンライダー 1200
19 ヴィオ 1200 ききょう
19 マイネルサクセサー 1200 クローバー賞
19 ケツァルテナンゴ 1200 中京2歳
23 ブラックバゴ 1150 京成杯2着
23 ロードフェリーチェ 1150 シンザン2着
25 アッシュゴールド 1100 デイリー杯2着
26 ネオルミエール 1050 いちょう2着
27 マイネルシュバリエ 1000 札幌2歳2着

共同通信杯は3番人気のリアルスティールがを制して収得賞金を2250万として5位タイまで浮上。予定通りとはいえ中1週で共同通信杯を使った1番人気ドゥラメンテは2着で1650万としたものの、皐月賞・ダービー出走に関しては現状出られるかどうか不透明な状況。2着以上で皐月賞とダービーの出走を当確まで持っていけた2番人気アヴニールマルシェは、ここへ満を持しての登場も痛恨の5着。マイル路線との噂の4番人気アンビシャスもNHKマイルカップ当確の賞金を積めない3着、人気薄ながらベルーフルージュバックなどと差のない競馬をしてきたミュゼエイリアンも4着と賞金を加算できず、春のG1を前に1戦1戦の重さが各陣営を追い詰めてきている。

気になるのは5番人気ダノンメジャーが大差のシンガリ負けを喫していて、原因はレース中のアクシデントとのこと。当日の感じでは止めたおかげか大事には至っていないとのことだが、歩様異常で平地調教再審査(オルフェーヴル阪神大賞典で逸走した際に受けた処分)となっている。これはレース前の追い切りでレース中と同程度のラップでコース追いをしてまっすぐ走れるかどうかを試験するもので、その際に騎乗した騎手がレースでも騎乗するルールとなっている。つまり、横山典弘騎手が栗東に出向いてダノンメジャーの追い切りに騎乗するか、他の騎手(恐らく小牧騎手)が再審査時に騎乗してレースに乗るかしなければならないため、いずれにしろ非常に面倒な状況には変わりない。*1橋口師と小牧騎手の関係であれば「一度降ろした騎手を再登板させる」障壁は薄いと思うが、結果を出せなかった小牧騎手で再挑戦しなければならないというのは大きな痛手でもあろう。また、歩様に異常があったのにそのまま続戦でスプリングSということは考えづらいため、立て直してから調教再審査も含めて皐月賞以降のG1に間に合うかどうか、この辺りは動向を注視していきたい。

ダノンメジャーは調教再審査に - デイリースポーツ

その他、賞金上位のコスモナインボール共同通信杯で8着に負けた後の柴田大地騎手のコメントで「左回りはいい」とのことで、この馬も皐月賞路線は諦めてNHKマイルカップに回る可能性はありそう。

今後の動向

まずは皐月賞出走の賞金ボーダーラインがだいぶ見えてきた。

出走枠 馬名 賞金 次走
1 弥生賞1着 シャイニングレイ 3650 弥生賞
2 弥生賞2着 ベルラップ 2500 弥生賞
3 弥生賞3着 グァンチャーレ 2250 弥生賞
4 スプリング1着 ダノンプラチナ 4400 スプリング
5 スプリング2着 ベルーフ 2750 スプリング
6 スプリング3着 - - -
7 若葉1着 ポルトドートウィユ 1650 若葉S
8 若葉2着 - -
9 賞金順 リアルスティール 2250 スプリング
10 賞金順 毎日杯1着 2250 -
11 賞金順 タガノエスプレッソ 2200 弥生賞
12 賞金順 コメート 2200 弥生賞
13 賞金順 クラリティスカイ 2000 弥生賞かスプリング
14 賞金順 サトノクラウン 2000 弥生賞
15 賞金順 ミュゼスルタン 1900 スプリング
16 賞金順 ブライトエンブレム 1900 弥生賞
17 賞金順 ダノンメジャー 1850 -
18 賞金順 コスモナインボール 1700 -
19 賞金順 アヴニールマルシェ 1650 -
19 賞金順 ドゥラメンテ 1650 -
19 賞金順 アダムスブリッジ 1400 若葉S
19 賞金順 エイシンライダー 1200 -
19 賞金順 ヴィオ 1200 -
19 賞金順 マイネルサクセサー 1200 -
19 賞金順 ケツァルテナンゴ 1200 -
19 賞金順 ブラックバゴ 1150 -
19 賞金順 ロードフェリーチェ 1150 -
19 賞金順 アッシュゴールド 1100 -
19 賞金順 ネオルミエール 1050 -
19 賞金順 マイネルシュバリエ 1000 -

賞金上位がこぞって参戦する弥生賞では1〜3着までをその馬たちで独占、スプリングSではダノンプラチナベルーフリアルスティールで2枠を獲得、若葉Sに回るポルトドートウィユが2着以内に入るという計算で、アーリントンカップの上位は皐月賞路線ではなくNHKマイルを使うものとし、すみれSと毎日杯の2着は「確実に賞金上位に達する」とは限らないため、この表では考慮外として下記の「トライアル以外の不確定要素」に記載する。

トライアル以外の不確定要素

3月1日のすみれSで、収得賞金900万以上の馬が勝利した場合

すみれSには現在900万以上の馬の中では福寿草特別を勝ったバイガエシ、梅花賞を勝ったスピリッツミノルが出走を予定している。

ゆりかもめ賞を勝ったヴェラヴァルスターは関東馬のためすみれSから皐月賞路線には回らずに青葉賞からダービーを狙うとのこと。

毎日杯で収得賞金900万以上の馬が2着した場合

毎日杯の出走予定馬はまだハッキリしていないが、900万の馬が2着しても収得賞金は1650万となるため、皐月賞の出走賞金ボーダーに関わってくる可能性はある。

雑感

まずは出資馬アヴニールマルシェの近辺の話から。もちろんトライアルと賞金上位馬の動向次第ではあるものの、1650万組まで皐月賞の出走は可能性ありそう。ここに並んでいるのが、いずれもノーザンファーム産でクラブで募集された良血高馬のアヴニールマルシェ(キャロット・7000万)、ポルトドートウィユ(サンデーR・1.2億)、ドゥラメンテ(サンデーR・1億)ということで、各出資者とも頭の痛いところではあると思う。ポルトドートウィユはこの後まだメンバーの薄そうな若葉Sを予定していて、アヴニールマルシェ共同通信杯後のクラブ公式コメントを見る限りはスプリングSあたりに怒りの突撃もありそうな感じなので、クラシック戦線はまだまだこれからといったところだが、ドゥラメンテ陣営は共同通信杯を中1週で使ってしまって脚元も危うい感じのため、強行軍でクラシックを目指すというよりは、立て直して毎日杯あたりからNHKマイル・ダービーという感じだろうか。コーナーの多い中山コースでの皐月賞は不向きだろうし、腹をくくってNHKマイルに絞れる、という意味ではドゥラメンテ陣営にとっての共同通信杯は痛恨の敗戦ではなかったのかもしれない。

去年のクラシック戦線は、夏デビューから順調に賞金を積み増していったイスラボニータハープスターなどが席巻したが、今年のクラシック戦線は夏〜秋に期待されていたアヴニールマルシェ・ティルナノーグ・ダノンメジャーあたりが軒並み失速してきて、逆に10月デビューのベルーフドゥラメンテ、11月デビューのシャイニングレイ、12月末デビューのリアルスティールなどが続々と台頭してきて夏から秋の力関係をまるっと逆転してきている。早期に賞金を積んでクラシックの出走権を確定させてきたはずのブライトエンブレムクラリティスカイあたりもダービーに限っては窮地に立たされてきていることもあり、もしかしたら今年の新馬の夏デビューのトレンドにも影響を与えてくるかもしれない。*2

いずれにしろ、このクラシック出走枠の争いもまた「ダービーからダービーへ」のサイクルを盛り上げる要素のひとつに成長している感じがする。

(※前回の記事で3歳のG3で1着の場合の収得賞金追加を1750万で計算していましたが、正しくは3700÷2の1850万でした。前回の記事は賞味期限切れのため更新はしませんが、今回からちゃんと1850万で計算します。)

*1:ダノンメジャーを美浦に持っていって試験受けられるかどうかは不明

*2:今年も社台は既に始動を早めているそうだが