福永祐一の2着伝説は面白くないが、実は3着伝説があったという話

福永祐一といえば……2着である。福永祐一騎手の中央G1勝利は18回だが、2着はそれを上回る23回(南部杯除く)。一番最初の2getは象徴的なキングヘイロー皐月賞、あそこから福永祐一の2get伝説は始まったのだ。その後も、エイシンプレストンでマイルCS2年連続2着、ラインクラフトでは秋華賞高松宮記念で2着、エピファネイアではクラシック3冠のうち皐月賞とダービーで2着など、デビュー3年目の1998年から、2004年、2010年、2011年を除くすべての年で2getしている横山典弘騎手に続く2getterなのであ……、って、あれ? エイシンプレストンは香港でG1を3つも勝った馬だし、ラインクラフトでは2getする前に桜花賞NHKマイルも勝ってるし、エピファネイアは最後の1冠菊花賞で圧勝してるし、なんだこの2着ラインナップ、ノリさんに比べると全然面白くないぞ? もっと、菊花賞で4年連続2着とか、ローズバドでG1連続2着とか、そういう見応えのある2着はないのか……? 人気も2番人気とか3番人気ばかりじゃないか! 1番人気2着がラインクラフト秋華賞だけだし、(あくまで、ノリさんに比べて)全然才能を感じない……

輝かしき(?)福永祐一2get記録

15 菊花賞 リアルスティール
15 安田記念 ヴァンセンヌ
15 皐月賞 リアルスティール
14 JC ジャスタウェイ
14 マイルCS フィエロ
13 ダービー エピファネイア
13 皐月賞 エピファネイア
12 皐月賞 ワールドエース
09 宝塚記念 サクラメガワンダー
08 秋華賞 ムードインディゴ
07 ダービー アサクサキングス
07 天皇賞 エリモエクスパイア
06 スプリンターズS メイショウボーラー
06 オークス フサイチパンドラ
06 高松宮記念 ラインクラフト
05 秋華賞 ラインクラフト
03 高松宮記念 サニングデール
02 マイルCS エイシンプレストン
01 マイルCS エイシンプレストン
00 高松宮記念 ディヴァインライト
99 マイルCS キングヘイロー
99 エリザベス女王杯 フサイチエアデール
98 皐月賞 キングヘイロー

特筆事項としては、キングヘイローエイシンプレストンラインクラフトエピファネイアリアルスティールと2着を2回している馬が5頭いて、キングヘイロー柴田善臣騎手で後に高松宮記念を勝った*1以外は、エイシンプレストンラインクラフトエピファネイアまでが福永祐一を背にG1を勝ったことがある、という点だろうか。*2リアルスティールは現時点ではまだまだチャンスはある。
また、サニングデール(翌年の高松宮記念)、フサイチパンドラ(同じ年のエリザベス女王杯)ではその後自身の手でG1馬へ導いていて、アサクサキングス菊花賞で四位騎手がG1を勝たせている。メイショウボーラー(前年のフェブラリーS)、ジャスタウェイ天皇賞・秋ドバイDF安田記念)についても、既にG1を勝っている馬での2着ということになり、2着であることに価値のある2着、というインパクトが感じられないのである。キングヘイローワールドエースエピファネイアリアルスティール皐月賞2着からのダービー芸くらいか。
こんなに2着記録があるのに平々凡々とした男だなぁ、と思って福永祐一のG1成績を眺めてみたら……

「あれ、2着より3着のほうが多くね?」

そう、実は福永祐一騎手、2着(23回)よりも3着(30回)のほうが多く、しかも2003年から2014念まで12年連続3着記録の継続中なのである。――が、2015年は既にスワンSでの落馬事故で骨折し年内休養とのことなので、この記録が途絶えてしまうことがほぼ決まってしまっているのである。残念……。*3

輝かしき福永祐一3get記録

14 宝塚記念 ヴィルシーナ
13 マイルCS ダノンシャーク
13 桜花賞 プリンセスジャック
12 高松宮記念 ロードカナロア
11 有馬記念 トゥザグローリー
11 スプリンターズS エーシンヴァーゴウ
11 ヴィクトリアマイル レディアルバローザ
10 朝日杯 リベルタス
10 マイルCS ゴールスキー
10 NHKマイル リルダヴァル
10 桜花賞 エーシンリターンズ
09 菊花賞 セイウンワンダー
09 オークス ジェルミナル
09 桜花賞 ジェルミナル
08 安田記念 エイシンドーバー
08 高松宮記念 スズカフェニックス
07 阪神JF エイムアットビップ
07 天皇賞 カンパニー
06 秋華賞 フサイチパンドラ
05 マイルCS ラインクラフト
04 阪神JF ラインクラフト
04 NHKマイル メイショウボーラー
04 皐月賞 メイショウボーラー
04 フェブラリーS スターリングローズ
03 JCD ハギノハイグレイド
03 皐月賞 エイシンチャンプ
00 安田記念 キングヘイロー
99 スプリンターズS キングヘイロー
97 朝日杯 フィガロ
96 エリザベス女王杯 シーズグレイス

デビュー年から1998年、2001年、2002年以外は3着を続け、2着伝説(?)の際も名前のあったキングヘイローメイショウボーラーラインクラフトフサイチパンドラなども堅実に3着に持ってきている。ジェルミナル桜花賞オークス連続3着からは3着力を感じるし、最大のポイントは「あのロードカナロアに乗って唯一3着まで負けた男」だろうか。そしてそこで3着力を使い果たしたのか、それまで年3回程のペースで積み上げていった3着は、2013年桜花賞のプリンセスジャック、2013年マイルCSダノンシャーク、2014年宝塚記念ヴィルシーナとあからさまにペースが落ち、そして2015年ついに記録が途切れてしまう。リアルスティールで三冠レース2着、4着、2着がもったいなかった。
ちなみに、TARGETにデータがある限り*4の調べでは、最多3着は武豊の43回(ナリタタイシンのダービー、スペシャルウィーク皐月賞など)、2位が横山典弘の31回(メジロライアン皐月賞菊花賞ロイスアンドロイス天皇賞・JCなど)、そして福永祐一が3位の30回。その次が蛯名正義の21回(ホッカイルソー菊花賞天皇賞レディパステル秋華賞・翌年のエリザベス女王杯など)と大きく離れていて、やはり「2着力がある騎手は3着力もある」という結論に達するのである。

参考データ

2着回数
1 武豊 53
2 横山典弘 43
3 福永祐一 24
4 蛯名正義 20
5 四位洋文 18
4着回数
1 武豊 44
2 横山典弘 25
3 福永祐一 24
4 蛯名正義 23
4 柴田善臣 23
6 藤田伸二 17

岡部幸雄 24回(1986年以降)

4着以降は突出した数字が出ないので、やっぱりこの人たち何かあるんだな……。

ボツ企画

福永祐一は2着3着力の高さが横山典弘牝馬での強さが松永幹夫、奥さんの華やかさや血統のスター性が武豊、そして公務員騎乗っぷりが柴田善臣と、1966〜1969年生まれの4人のトップジョッキー(?)を悪魔合体させたような男だ、みたいなネタを考えたけど、データ出すの大変すぎワロタだったので「2着3着力」に絞って書きました。

関連

横山典弘騎手、中央のG1競走で16年連続2着を達成!(2010年の記事)
ちなみにこの記事の後に2012年まで18年連続2着を達成したものの、2013年に途切れて2014年も2着はない。2015年はスプリンターズSサクラゴスペルで2着をもぎ取った。

*1:その時の2着が福永祐一騎乗のディヴァインライト

*2:エイシンプレストンは香港G1を3勝

*3:有馬記念までに電撃復帰してリアルスティールで3着狙えないものか……

*4:1986年以降

2015年度キャロットクラブ募集馬、各条件での概算当選率表

2015年度キャロットクラブの14年産募集の最終中間発表が出た。ランクイン頭数36頭、公開票数14208票は前年に比べて大幅アップと締切時点での票数は去年よりも更に厳しい激戦が予想される。
というわけで、自分のメモがてら以下の条件で中間発表の数字を集計し、概算の当選率を算出した。

  • 締切時点で前年の票数の110%
  • ×1*1発生率は37%とする*2
  • ×2*3は考慮しない
    • ×2を考慮していないので、リリサイド・トゥザヴィクトリー・ラドラーダの3頭と概算が外れた場合のアビラ・アドマイヤセラヴィ・アマルフィターナの3頭は×1の最優先出資申し込みの当選率に大きな影響があると思われる。リリサイドとトゥザヴィクトリーは恐らく×1には狭き門なのではないか
  • 母馬優先に関する表記は行わない。(確率計算の考慮には入っている)

以上の条件を元に、最終中間発表から締切時点での票数を逆算した結果が下の表である。尚、この結果を信用して出資申し込みして落選した、または望まない当選をしてしまったなどのクレームにはお応えしかねるので、あらかじめご了承の上ご覧頂きたい。

母馬名 ×1 ×なし 一般
リリサイド 77.8% 0.0% 0.0%
トゥザヴィクトリー 93.6% 0.0% 0.0%
ラドラーダ 97.9% 0.0% 0.0%
アビラ 100.0% 6.5% 0.0%
アドマイヤセラヴィ 100.0% 13.8% 0.0%
アマルフィターナ 100.0% 15.6% 0.0%
エポキシ 100.0% 42.7% 0.0%
トキオリアリティー 100.0% 51.2% 0.0%
ココシュニック 100.0% 53.7% 0.0%
メジロシャレード 100.0% 64.3% 0.0%
ジンジャーパンチ 100.0% 65.3% 0.0%
レーヴディマン 100.0% 88.4% 0.0%
ベネディーレ 100.0% 99.2% 0.0%
スターペスミツコ 100.0% 100.0% 2.7%
カラベルラティー 100.0% 100.0% 9.0%
リッチダンサー 100.0% 100.0% 19.2%
ディアデラノビア 100.0% 100.0% 22.0%
シェアザストーリー 100.0% 100.0% 28.6%
ブルーメンブラット 100.0% 100.0% 29.0%
ラニーフロイド 100.0% 100.0% 44.3%
Sweet Dreames Baby 100.0% 100.0% 53.3%
カメリアローズ 100.0% 100.0% 55.4%
ヒストリックスター 100.0% 100.0% 61.4%
イグジビットワン 100.0% 100.0% 66.4%
ジャッキーテースト 100.0% 100.0% 67.5%
シーズアン 100.0% 100.0% 77.7%
シーザリオ 100.0% 100.0% 82.0%
エルダンジュ 100.0% 100.0% 83.9%
ペニーホイッスル 100.0% 100.0% 84.6%
グレイトフィーヴァー 100.0% 100.0% 90.1%
キュー 100.0% 100.0% 90.2%
パーシステントリー 100.0% 100.0% 90.3%
スルーレート 100.0% 100.0% 91.5%
ヴァイスハイト 100.0% 100.0% 91.8%
ピューリティー 100.0% 100.0% 92.1%
シンハリーズ 100.0% 100.0% 92.7%

*1:前年度最優先非当選のこと

*2:こういった激戦となる馬に1次で出資する人の去年の最優先落選票数と当選票数を集計して算出

*3:2年連続最優先非当選のこと

競馬ラボのTwitter担当者には不正確な情報を速報として書き込む行為を辞めてもらいたい

普段からクソなメディアだとは思っていたけれど、さすがにここ1週間の競馬ラボは目に余った。

今回の後藤騎手落馬の件

先週土曜のダイヤモンドSで、リキサンステルスに騎乗していた後藤騎手がまたも落馬に見舞われた。何度も落馬負傷しては、そこから懸命にリハビリを重ねて復帰してきた後藤騎手に起こった事故に、まずは無事なのか、そして翌日の騎乗は大丈夫なのかと心配された人も多いことだろう。

一次情報ソースの第一報としては、サンスポのtwitterアカウントから当日の16:24に以下のような情報が出た。

この時点で「自力で立って歩いていた」「頸椎捻挫との診断」「曜の騎乗は、朝の様子を見てから決める」というのが、競馬場にいる顕名記者の取材の成果として報道されている。
もう1社、日刊スポーツも18:51に「頸椎(けいつい)捻挫の診断」「当日の騎乗は状態を見て判断する。」という記事を配信をしており、サンスポの取材内容と齟齬はない。
後藤騎手がまた落馬、頸椎捻挫の診断

ところが。

サンスポの「頸椎捻挫との診断」という情報の25分後に、競馬ラボはこんなツイートをしている。

「打撲程度の負傷」はサンスポと日刊の報道する「頸椎捻挫との診断」とは異なり、また「日曜日も騎乗される」というのも「明日に判断する」という報道と異なる。「とのことです」という伝聞形式であるのであれば、誰からの情報であるのか書くべき。「模様」という表現も非常にあいまいで、何を根拠にこのツイートを書き世に送り出しているのか非常にあやふやである。
後になって正式な診断を書き直しているが、それは「打撲」と書いた5時間後の22:10のこと。

事実と異なることをツイートしたことへの訂正や謝罪などもなし。


御神本騎手が落馬した際にも

後藤騎手の落馬の件であやふやな情報を出しただけであれば、こんな記事書いてまで競馬ラボ叩くほどの情熱は持てない。イラッとしながら「またネタバレラボ*1さん不正確な情報出してる」などと吐き捨てて終了だった。しかし、競馬ラボは1週間に同じようなことを2回やっているのである。

フェブラリーSの出馬投票が行われる19日の浦和9Rで御神本騎手が落馬し、彼の安否や既に御神本騎手で出馬投票が行われて出走予定となっているサトノタイガーの鞍上などがどうなるか心配されることとなった。

サンスポは16:30に「意識はある」など現地にいる記者からの情報としてツイートを書き込んでいる。

その後、17:24に「打撲との診断」「日曜は乗り替わる方向」と名前は出していないが先のツイートと同じ記者からの情報であろう内容の書き込みを行っている。

ところが、競馬ラボはというと。
15:41に「フェブラリーS(サトノタイガー)の騎乗は危ういのでは?」という「御神本騎手の様子を見た、現場からの声」と称するわけのわからない情報を書き込むだけ。

何だよ、現場からの声って……。

ツイート内容を比較すれば一目瞭然だが、サンスポが「現場にいる誰々という記者からの情報」と必ず断り書きをして「情報の正確性」を示す内容を「ツイート」という比較的信憑性の薄いと思われがちなものの中に含めているのに対し、競馬ラボは「速報性」に躍起になって「現場からの声」や「誰からの伝聞かも明記しない『とのことです』」などと情報の正確性を一切読み手に示さず、しかも間違った情報も流しているし、これは「拙速」以外に評する言葉が見当たらない。もちろん、サンスポ、エイト、Gallop、夕刊フジにテレビ中継と競馬を扱うメディアでは最大の資本投下を行っているサンスポ軍団と違って競馬ラボはメディアとしては小さいほうで、取材力に差があるからしょうがない部分もあるという言い訳もあるかもしれない。それでも、自力で取材もできていない嘘か本当かもわからない情報をばら撒くのは有害極まりない。取材や事実確認などに基づく正確な情報を書けないのであれば、是非とも黙っていていただきたい。

特定の陣営にベッタリ張り付いてコンテンツ作って金に変えるのは好きにすればいい。ただ、落馬事故2件の「速報」のような「報道風のママゴト」は続けて良いものではないし、あやふやな情報をばら撒く体質が改善されないのであれば、そんなメディアは競馬場やトレセンからは退場していただきたい。

あとはそういう落馬などの情報をツイートする時に、落馬事故のニュース記事のURLじゃない自社サイトの騎手のURL貼り付けるのはゲスいしevilなのでやめた方がいいと思いますよ。前にそれで中スポだかどこだかが叩かれてなかったっけ。

ちょっと目に余ったしRTされてきても「一次ソースとは認めないメディア」の箱に入れたので、とりあえず競馬ラボのtwitterアカウントはミュートしました。グッバイ、競馬ラボ。

*1:グリーンチャンネル香港国際競走中継は5分ディレイなのだが、競馬ラボが現地から入線順位を速報として書き込んで「日本は5分ディレイなんだからネタバレするな」と壮絶に叩かれた