2020年日本ダービー、無観客競馬での時系列での馬券の売れ方グラフ

まず前提として、最終的な売上は減ったという話から。

【日本ダービー】売り上げは前年比92・3%の233億円超― スポニチ Sponichi Annex ギャンブル

「他のエンターテイメントが軒並みやっていなくて、競馬しかやることがないから売上が増える」というのは地方含めた全体的な傾向としてはあるようだけれど、さすがに競馬場・ウインズに「ダービーだから」と来る人々による売上が減ることは大きな痛手だったようだ。20億も下がってしまうのか……。

無観客だと馬体重発表時刻あたりから票数にブーストがかかるが、当たり前なことに前日・当日の競馬場・ウインズの開場時刻からの売上が大きい

電話・インターネット投票でのみ馬券が買えた2020年の日本ダービー、馬券の売れ方が実際どう変わったのか、単勝のみではあるが時系列の票数や割合をグラフにしてみた。
2019年と2018年はほぼ同じような票数とその推移。2020年は、競馬場・ウインズでの馬券発売がないため前年までと違った売れ方をしている。

全時間帯 金額ベース

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全時間帯_金額ベース

前年までは前日の午前9時頃と当日の午前9時頃、つまり競馬場やウインズが開く時間帯から売上にブーストがかかる。前日17時の段階の単勝票数は2.5倍程度の差がある(票数にすると100万票、最終票数の5%程度)。特に当日朝からの伸びにかなり違いがあり、やはりダービー当日ともなると競馬場・ウインズでの売上が大きいのだろう。

全時間帯 割合ベース

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全時間帯_割合ベース

面白いのはこっちの割合ベースのグラフ。競馬場・ウインズでの売上が朝から上がるというのは票数ベースでも読み取れたが、なんと当日の朝9時頃、つまり東京競馬場以外の売り場が開く時間帯に割合が一旦合流する。買うなら前日までに買う派の割合は変わらずに、同じ投票行動をしているからだろうか。

当日の推移を見ると、確かに朝からの出脚は遅れているわけだけれど、それがどこでペースが上がって100%に近づいていくのかというと、次のグラフ。

当日 割合ベース

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当日 割合ベース

2020年はブーストのタイミングがわかりやすい。発走約60分前、つまり馬体重を見てから買おうというタイミングでブーストがかかる。つまり、家でテレビ見ながら馬券買うんだから、発売窓口という物理的な制約を気にせず、自分のペースで必要な情報が出揃ってからの投票行動の可視化というわけである。去年までと今年とでは、発走時刻と単勝が50%売れるまでの時刻の差が倍近くある。

前日発売まで 票数ベース

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前日まで 票数ベース

↑は前日発売~前日夜間売りの部分をクローズアップしたグラフなのだけれど、一部のウインズで実施している前々日発売も、前々日の夜間の売上も3年通してほぼ変わらない、というのは面白い。結局、一番大きいのは全国の競馬場・ウインズが開いているかどうか、というわけだ。


一日も早い、競馬場・ウインズの一般客の入場再開を願うばかりである。

2019年秋季競馬番組 各クラス競走回数増減表 賞金額増減表

各クラス競走回数増減

開催 クラス 18年 19年 増減 備考
4回中山 2歳新馬 13 15 2 ダ1、芝1増
4回中山 2歳未勝利 22 24 2
4回中山 2歳1勝C 2 2 0
4回中山 2歳OP 2 2 0
4回中山 3歳未勝利 13 0 -13
4回中山 3上1勝 28 33 5
4回中山 3上2勝 13 16 3
4回中山 3上3勝 5 5 0
4回中山 3上OP 6 7 1 3週目ながつきS(ダ1200)
4回中山 障害未勝利 3 3 0
4回中山 障害OP 1 1 0
4回阪神 2歳新馬 13 15 2 ダ1、芝1増
4回阪神 2歳未勝利 21 23 2
4回阪神 2歳1勝C 1 1 0
4回阪神 2歳OP 2 2 0
4回阪神 3歳未勝利 13 0 -13
4回阪神 3上1勝 29 33 4
4回阪神 3上2勝 13 16 3
4回阪神 3上3勝 6 7 1 竹田城S(ダ2000)
4回阪神 3上OP 6 6 0
4回阪神 障害未勝利 3 4 1
4回阪神 障害OP 1 1 0
4回東京 2歳新馬 17 18 1 ダ1増
4回東京 2歳未勝利 26 26 0
4回東京 2歳1勝C 2 2 0
4回東京 2歳OP 3 3 0
4回東京 3上1勝 26 26 0
4回東京 3上2勝 17 17 0
4回東京 3上3勝 8 8 0
4回東京 3上OP 7 7 0
4回東京 障害未勝利 1 0 -1
4回東京 障害OP 1 1 0
4回京都 2歳新馬 18 18 0
4回京都 2歳未勝利 25 26 1 ダ1800追加
4回京都 2歳1勝C 4 4 0
4回京都 2歳OP 2 2 0
4回京都 3上1勝 24 23 -1
4回京都 3上2勝 18 18 0
4回京都 3上3勝 8 8 0
4回京都 3上OP 7 8 1 2週目に太秦S(ダ1800)
4回京都 障害未勝利 1 1 0
4回京都 障害OP 1 0 -1
3回新潟 2歳新馬 3 3 0
3回新潟 2歳未勝利 14 14 0
3回新潟 2歳1勝C 0 0 0
3回新潟 2歳OP 0 0 0
3回新潟 3上1勝 41 37 -4
3回新潟 3上2勝 3 6 3 菅名岳特(D18牝)柏崎特(D16)鳥屋野特(D18)
3回新潟 3上3勝 1 1 0
3回新潟 3上OP 2 2 0
3回新潟 障害未勝利 6 6 0
3回新潟 障害OP 2 3 1
5回東京 2歳新馬 16 16 0
5回東京 2歳未勝利 28 28 0
5回東京 2歳1勝C 6 6 0
5回東京 2歳OP 2 2 0
5回東京 3上1勝 11 11 0
5回東京 3上2勝 17 17 0
5回東京 3上3勝 7 7 0
5回東京 3上OP 6 6 0
5回東京 障害未勝利 1 1 0
5回東京 障害OP 1 1 0
5回京都 2歳新馬 16 16 0
5回京都 2歳未勝利 29 29 0
5回京都 2歳1勝C 4 4 0
5回京都 2歳OP 3 3 0
5回京都 3上1勝 10 11 1
5回京都 3上2勝 16 17 1
5回京都 3上3勝 8 8 0
5回京都 3上OP 8 6 -2 JBC3競走がみやこS
5回京都 障害未勝利 0 1 1
5回京都 障害OP 2 1 -1
3回福島 2歳新馬 3 3 0
3回福島 2歳未勝利 12 13 1
3回福島 2歳1勝C 1 1 0
3回福島 2歳OP 1 1 0
3回福島 3上1勝 42 38 -4
3回福島 3上2勝 3 5 2 西郷特(D1150)会津特(芝1200)
3回福島 3上3勝 1 2 1 奥羽S(ダート1700)
3回福島 3上OP 2 2 0
3回福島 障害未勝利 6 6 0
3回福島 障害OP 1 1 0
5回中山 2歳新馬 17 18 1 芝2000
5回中山 2歳未勝利 35 36 1 芝1600
5回中山 2歳1勝C 6 6 0
5回中山 2歳OP 2 2 0
5回中山 3上1勝 14 12 -2
5回中山 3上2勝 17 17 0
5回中山 3上3勝 8 8 0
5回中山 3上OP 7 7 0
5回中山 障害未勝利 0 0 0
5回中山 障害OP 2 2 0
5回阪神 2歳新馬 16 17 1 ダ1800
5回阪神 2歳未勝利 35 36 1 ダ1800
5回阪神 2歳1勝C 7 7 0
5回阪神 2歳OP 2 2 0
5回阪神 3上1勝 14 12 -2
5回阪神 3上2勝 18 18 0
5回阪神 3上3勝 8 8 0
5回阪神 3上OP 6 6 0
5回阪神 障害未勝利 2 2 0
5回阪神 障害OP 0 0 0
5回中京 2歳新馬 3 3 0
5回中京 2歳未勝利 12 12 0
5回中京 2歳1勝C 3 3 0
5回中京 2歳OP 0 0 0
5回中京 3上1勝 39 36 -3
5回中京 3上2勝 6 7 1 犬山特別(ダ1900)
5回中京 3上3勝 2 3 1 飛騨S(芝1400)
5回中京 3上OP 2 2 0
5回中京 障害未勝利 4 4 0
5回中京 障害OP 1 2 1
合計 1055 1055 0

メモ

2歳新馬 +7 (芝3 ダート4)
2歳未勝利 +8
2歳1勝C、2歳OP 増減なし
3歳未勝利 -26
3歳上1勝C -6
3歳上2勝C +13
3歳上3勝C +3
3歳上OP -2 JBC3競走がみやこS
障害未勝利 +1

雑感

2歳の新馬・未勝利が15レース増えたので、500万とOPクラスの馬増えそう。レースが増えたことで新馬・未勝利戦の出馬もしやすくなるのではないか。
ダートのレースが増えているのが意外……というか、減らした分をバランス良く振り分けないと芝コースの保護に影響が出ますよね、そうですよね。
古馬2勝クラス、増えてるのダートばかりなのでまた準OPがしんどそう。
秋の中山・阪神で増えている古馬2勝クラスは平場。
秋の新潟・福島で古馬2勝クラス特別戦が増えて、番組が少し厚く。
2歳の1勝以上レースに変更なし。

賞金額増減

単位(千円) 18年 19年 増減
4回中山 2,245,440 2,337,740 92,300
4回阪神 2,129,010 2,222,880 93,870
4回東京 2,544,340 2,562,980 18,640
4回京都 2,506,260 2,527,710 21,450
3回新潟 1,175,150 1,220,100 44,950
5回東京 2,441,190 2,460,240 19,050
5回京都 2,602,360 2,311,240 -291,120
3回福島 1,214,150 1,243,420 29,270
5回中山 2,844,970 2,854,070 9,100
5回阪神 2,259,780 2,267,380 7,600
4回中京 1,395,060 1,429,780 34,720
合計 23,357,710 23,437,540 79,830

雑感

実際の数字としては約8000万円の増額、JBC京都(約3億円)がなくなった分を考えなければ、賞金額はだいたい4億円くらいの増額ということになるか。
スーパー未勝利をやめた中山・阪神で9000万円強ずつ賞金が増えていて、秋の新潟・福島合計で7500万円くらいの増額となっている。なんだ、スーパー未勝利やめて上級の条件増やしたほうが馬主サイドの取り分は増えるんだな。
古馬2勝クラス平場戦の1着賞金が1050万円→1100万円などもきいているか。
JRAさんまだお金余ってますよね! もっと増額しましょう!

ダーレーキャッスルパークに完成した坂路のパワーを、数字で。

ダーレーキャッスルパークの坂路コースは今年から本格稼働

ゴドルフィンの日本馬を育成するダーレーキャッスルパークに坂路コースが完成したと、今年のPOG本に書いてありましたね。

昨年12月に屋根付きウッドチップ坂路(1200m)が完成しました。勾配は平均4%です。
競馬王編集部編「競馬王のPOG本 2019-2020」 P112より

その威力・効果・パワーがいかほどか、数字で。

2013~2019年の6~7月の「馬主:ゴドルフィン」2歳戦の着度数

(2017年までは「H.H.シェイク・モハメド」名義、2018年からは「ゴドルフィン」名義)

1着 2着 3着 出走回数
2013 3 1 0 11
2014 0 0 2 10
2015 2 0 0 10
2016 1 1 1 7
2017 1 0 0 1
2018 0 0 0 2
2019 3 4 2 24

2017~2018は坂路完成前であまり早く馬を仕上げられなかったのだろうか少なめだが、坂路が完成してからの育成となった今年の2歳馬は同時期にこれまでの倍以上の24頭がデビュー。しかも、芝の1800m以上の勝ち鞍は今年のダーリントンホールが初めて。これが、Mr.マ○ックも驚きの「坂路パワー」なのか……。

【参考】その他、同条件の他の勢力の数字

サラブレッドクラブ・ラフィアン

2000年以降同条件の勝ち度数が82勝とダントツナンバーワンなんだけれど、ここ最近の早期デビュートレンドを考えると出走回数含め伸び悩み。やはり育成がイマイチというご意見多し。


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サラブレッドクラブ・ラフィアン 2000-2019 6~7月の2歳戦出走回数と着度数5年移動平均

1着 2着 3着 出走回数
2000 8 3 4 33
2001 1 1 1 23
2002 3 3 5 41
2003 3 3 7 43
2004 4 2 5 24
2005 4 6 3 45
2006 8 6 2 46
2007 4 1 0 37
2008 0 3 1 16
2009 2 1 3 20
2010 5 3 2 37
2011 1 5 3 35
2012 6 4 5 56
2013 7 4 6 38
2014 3 7 9 42
2015 5 3 3 34
2016 5 11 7 51
2017 8 2 3 45
2018 2 0 4 49
2019 3 2 1 31

社台レースホース

出走回数は早期デビュートレンドに合わせてきっちり伸びるも、出走成績自体はここ数年ダウントレンド。ダーレーキャッスルパーク同様、坂路コースの施設拡充の影響? 完成でどこまで巻き返せるか。

社台レースホース 2000-2019 6~7月の2歳戦出走回数と着度数5年移動平均
社台レースホース 2000-2019 6~7月の2歳戦出走回数と着度数5年移動平均

1着 2着 3着 出走回数
2000 1 1 0 4
2001 0 0 0 3
2002 0 1 0 4
2003 0 0 0 3
2004 1 3 0 6
2005 0 1 2 13
2006 0 1 1 5
2007 4 0 0 9
2008 0 1 1 4
2009 1 1 0 4
2010 0 0 1 3
2011 0 0 0 3
2012 0 1 1 4
2013 3 0 2 15
2014 3 2 1 11
2015 1 0 3 9
2016 4 0 2 13
2017 3 1 1 8
2018 0 1 1 11
2019 1 3 0 13

サンデーレーシング

他2馬主と比べて、JRAの2歳戦強化施策にしっかり乗れているここ数年のアップトレンド。大正義。

サンデーレーシング 2000-2019 6~7月の2歳戦出走回数と着度数5年移動平均
サンデーレーシング 2000-2019 6~7月の2歳戦出走回数と着度数5年移動平均

1着 2着 3着 出走回数
2000 0 0 0 3
2001 2 1 2 6
2002 5 0 1 18
2003 3 3 1 12
2004 6 2 1 12
2005 4 2 3 16
2006 3 2 1 12
2007 1 0 1 6
2008 1 2 3 12
2009 4 0 0 14
2010 2 2 2 10
2011 2 4 0 19
2012 2 5 0 16
2013 1 1 2 9
2014 2 2 0 11
2015 4 2 0 9
2016 4 1 0 18
2017 3 0 2 8
2018 5 5 4 23
2019 5 4 4 22