隻眼(せきがん)とヨシトミ

自分の中で、隻眼のサラブレッドと言えばルーベンスメモリー
お帰り ルーベンス風光名馬より)

ジェニュイン産駒2期生の中でトップクラスの評価をされていたルーベンスメモリーにアクシデントが起きたのは昨年夏(俺注:2004年の記事なので、2003年の夏)でした。
放牧中に負った外傷が原因で右目を失明してしまったのです。

普段ヨシトミ先生を馬鹿にしたようなことを書いているかもしれない自分だけれども、この馬の鞍上・柴田善臣に関しては別人のような評価をしている。片目の見えない馬と、一応ベテランのジョッキー。馬は片目は見えなくとも、騎手を信じて全力で走る。片方でも視力がないとデビューできないという規定があるらしいけれど、でも俺はこれだけ頑張っているんだ。
母ダイナフランダースから「フランダースの犬」を連想し、その主人公ネロが息絶えたのは憧れのルーベンスの絵の前。ルーベンスメモリーも、いつかはターフを去る時が来るだろう。稲光の中でやっと見えた絵の記憶、それは強烈に焼きつく。記録には残らないが、ファンの記憶にはネロの見たルーベンスの絵のごとく焼きついただろう。