ジャパンカップ雑感。大正義池江泰寿厩舎が全然大正義してない件

2年前と同様の長い審議の末、今年は失格・降着なしで1位入線のジェンティルドンナの優勝で幕を閉じたジャパンカップ岩田康誠騎手の2日騎乗停止というペナルティはついたものの、何やら消化不良な気も。
【ジャパンC】不利負けオルフェ陣営激怒!(サンスポ)

検量室から出てきた池添謙一騎手は「僕が真っすぐ走っているのに、かなり大きな動作でぶつけられて失速した。着差が着差だけに…。(凱旋門賞2着の)遠征帰りでも力を出してくれたが、あの判定はどうか。納得がいかない」と審議の結果に不満をもらす。
「日本に帰ってきて、(鞍上が)僕に戻ってきて、みんなが思っている結果を出さなければいけなかったから、悔しい気持ちで一杯です」と無念さをにじませた。

池江泰寿調教師も、冷静さを装いながらも「3回ぶつけられた。1回目は(馬体が)宙に浮いている。手前も替えてしまったし、あれだけ弾かれたらどんな馬でも失速してしまう。判定は僕が決めることじゃないし、JRAがそう(セーフと)判断したのならしかたがないが…」と言葉に怒りを含ませる。

騎手も調教師も怒りを露わにし納得がいかないところを見ると、オルフェーヴルが負けたのはジェンティルドンナ岩田康誠の無作法で、あれは許される行為じゃないみたいな。


言いたいことはわかる。あそこでぶつけられて、最後ハナ差で負けてしまったら「ぶつけられなければ」と憤るのもわかる。しかし、パトロールビデオやら何やら見返して見ると、本当にそうなのか?って思わされてしまうものが、結構見つかるもので。
そもそも、オルフェーヴルビートブラックをかわすあたりで池添騎手が右ムチでインに寄せていて、ジェンティルドンナの進路をキッチリと塞いでいる。この時点で「僕が真っすぐ走っている」ってのは嘘だし、ジェンティルドンナにぶつけられた後も継続的に内に内にと「ぶつけて」いっているのはオルフェーヴルの動作だろう。ジェンティルドンナのコースを塞ぐのが意図的なものか、それとも馬の癖で偶然そうなったのかはわからないが、進路を塞ぐだけで満足してちゃダメでしょ。インで詰まりそうでも脚があるならぶつけてでも出てこようとするかもしれない、平場の条件戦と違ってそういう舞台なんだし、僕はまっすぐ走ってるからぶつけてくる奴が悪い、僕は悪くないなんて言い方する騎手を、前年の三冠馬凱旋門賞にも挑戦したチャンピオンの「主戦」だなんて、申し訳ないが認める訳にいかない。
確かに岩田は強引な乗り方したし、それに対するペナルティも課されているが、翻って池添騎手の乗り方はどうだ。「みんなが思っている結果を出さなければいけなかった」、つまり必ず勝たなければならず、勝てると信じているくらい力が違っているのであれば、後方から大外を回して他馬にぶつけられないコースを選択すれば良かったのでは? 実際、ディープインパクトは結果はともかく常にそういう競馬を続けたわけで、オルフェーヴルは絶対強者としてねじ伏せる立場ではなく、自ら勝負の舞台に降りてきて、負けるべくして負けてしまったのではないか。
現役唯一のクラシック三冠馬を管理し、オープン馬を15頭以上も管理する「大正義」池江泰寿調教師。ぶつけられたのが直接の敗因なのは師の言う通りなのかもしれないが、チャンピオンの敗戦後の物言いとしては、情けないものを感じてしまった。そして、自らを勝者と信じるのであれば、なぜその場で異議申立てを行わなかったのか。異議申立てもせずに、勝者を貶める発言ばかりしている陣営を、もうチャンピオンだなんて認めようとは思わない。
凱旋門賞でのスミヨンへの乗り替わりも、こういうところで岩田にぶつけられて負けてしまうから選択されたのではないか。不利を受けたから負けましたと弁解して、しょうがない、また次頑張れよと言って許してもらえる馬に跨っている、管理をしているのではないということを、騎手・調教師ともにそろそろ自覚したほうが良いのではないか。ヤスオおじいちゃんとワイワイ家族経営で、嫁も子供もみんな仲良く口取り、負けても勝ち馬の騎手が汚い手を使ったから自分らは悪くありません、オルフェーヴルはもうそういう次元の馬ではないのではないか。