2008年優駿牝馬「池添謙一疑惑の騎乗」について一言いっておくか

なんかコメント欄でリクエストがあったので、いつか書こうと思ってたトールポピー4頭なぎ倒し事件について、このタイミングで触れておこうか。
前提として、自分はオークスの馬券は1円も買ってないし別に社台の関係者でも池添の身内でもない、つまり当事者じゃないってことを書いておく。「馬券取ったからって擁護しやがって」と言われないためにも。
「どうしてトールポピー降着にならなかったのか?」ということについてなんだけれども、あんなナナメに走って迷惑かけておいて、進路妨害じゃないわけないだろ!って意見はたくさんあると思います。特に、オークスの馬券を持ってて「社台の〜」っていう意見をよーく見ます。まあ、どう見たって進路は妨害しているんですよ。進路をカットして、幅寄せしてるし。ただ、それが「走行妨害」にあたるかどうかっていうと、これがまた微妙な判断なわけで。
まあ、とりあえずレースVTRとパトロールVでも見てもらいましょうか。
2008優駿牝馬 トールポピー・池添謙一"疑惑の騎乗"(YouTube)
ポイントは2箇所。まずは残り400メートル付近で、15番池添のトールポピーが2番の幸とハートオブクイーンの前を走行する場面。この箇所では、確かに完全に前をカットする形なんだけれども、前に入られた幸が大きく手綱を引いていない。これだと、裁決も前をカットされたことにより走行に大きな支障が出たとは判断できなくなる。体勢も崩れてないし。
これくらいの進路カットに関しては、勝浦さんとテレグノシスさんでも「大丈夫」という前例があったりする。
2002年 第7回 NHKマイルカップG?(YouTube)
テレグノシスがサダムブルースカイの前を完全にカットするんだけど、ここもサダムブルースカイは微妙に手綱を引くだけでテレグノシスに前を譲る格好。テレグノシスが外に進路を取って、クロスする瞬間はダメだったけれど、テレグノシスが一気に抜けたから直後に内に進路を取れた。そのフラフラでタニノギムレットがダメージを受けてるんだけど、その件はテレグノシスの斜行とは直接関係がない。確か、テレグノシスの妨害よりサダムブルースカイの妨害の制裁のが重かったはず。*1しかし直線だけで2回も前カットされて最後突っ込んでくるタニノギムレットは強いわ。
それと比べて、カワカミプリンセスのコレはダメ。
2006エリザベス女王杯 パトロールビデオ(YouTube)
何がダメって、カワカミプリンセスが馬群に突っ込んでいってるし、ヤマニンシュクルが完全に体勢を崩して手綱を引いてしまってる。JRAの裁決的には、ここまでやってようやっと「走行妨害」ってこと。なので、先の件については勝浦よりは酷いかもだけど、本田ほどじゃないよね、ということになる。
で、2番目のポイント。そのままレジネッタと馬体を併せ、どんどん内に切れ込むアホ池添。レジネッタ&小牧が外に進路を取って逆にトールポピーを外に弾き飛ばそうとするんだけど、右鞭連打の池添は3回くらいレジネッタを押してそのまま内埒沿いまで。最後まで右鞭連打で、ガッツポーズまで取るくらいなんだからどれだけ余裕がないんだって話だよ。ここも、何回かレジネッタを押してるんだけど、どれも致命的な走行妨害になる馬がいなくて馬はセーフ。ソーマジックあたりが大きく体制崩してたりしたら馬もアウトだった可能性が高いけど、直接ぶつけられたレジネッタを含めて「走行妨害には至らなかった」ってこと。
多数の馬に平たく迷惑をかけて降着にならなかったケースとしては、映像は残ってないけど武豊とゴールドザボーガーが有名なはず。スタート直後に外にヨレて、波打つように9頭が被害を受けたレース。平場でこれだけやっても降着にならないってことなんだから「GIだから」という裁定ではないんじゃないかなーと、柏木さん。これは被害馬の多さで併せ技1本走行妨害!という裁決のしかたはしないんだという良いケース。んで、スタート直後に馬の原因が大きいと判断できるケースだったので、武豊は過怠金5万円で騎乗停止にはなってない。
じゃあなぜ池添は騎乗停止になったのか?については、走行妨害には至らなかったものの、馬は割かしちゃんと走ってるのに右鞭打ち続けて斜行し続けて直す素振りがなかったことが原因かな。なので、他の馬の被害が小さいのでトールポピーはセーフ、でも池添は空気読めてなくて読もうともしないからアウト、という捩れた裁定になったんだと、そう思っている。
ちなみに、安藤勝己が「アレでセーフなら」みたいなこと言ってたらしいけれど、騎手はアウトなんだから状況が状況なら馬もアウトになる可能性高いので、よほど上手くやらないと降着になってしまうぜよ、ということだけ書いておきたい。いやー、池添もアレだけのクソ騎乗してよく被害がアレだけで済んだよ、本当に奇跡的。ヒシアマゾンの中館とカンファーベスト郷原が悔しがって見てるところですわ。
トールポピーの例で馬に対して降着の処分とするなら、

  • 被害馬の多さに対して併せ技的な処分をする
  • 個々の被害について、あのレベルの被害でも降着とする

のどちらかということになり、個人的にはまあレースをブチ壊した責任取ってもらって併せ技で降着にしてもいいとは思うんだけれどもね。とりあえず、現状のJRAの裁決の中には「併せ技1本はない」ってことなんでしょう。
しかし、勝浦がゴール後に後ろを何度も確認する姿は可愛い。

*1:ソースなし