ローズステークスを勝った騎手が、競馬新聞を見ずとも藤田伸二だとわかったたった一つの理由

路線にブエナビスタのような絶対的本命馬がいて、その馬に惜敗を繰り返すうちに実力を認められ、本命馬がいないレースに出走した際に圧倒的一番人気に推されるという今日のレッドディザイアのような状況は、わりと目にすることが多い。しかしいざレースが始まってみると、熾烈なマークで窮屈な競馬を強いられたり安全策で外を回して距離ロスが多くなったりなどで、勝ちきれないパターンが多いのではないか。統計情報をとったわけではないので、体感で語ってしまって申し訳ないのだけれども。
例によって今日も、マークきつくなるし出走権持ってるんだし本番じゃないし、単勝1.4倍はかぶりすぎだろーと思って見ていた。結果は案の定だったんだけれど、内から抜け出したブロードストリートの騎手がゴール板を通過した瞬間にわかってしまった。
「あ、藤田だ」
決勝線を先頭で駆け抜けた後、メインスタンド側の腕を水平、もしくはそれよりやや上方に伸ばし、人差し指一本を立てて「一着」の形を作り静止する。この際、チラチラと伸ばした腕の方向を見て、向きを確認する。ほぼ全速力で駆けた直後なのに騎手がソラを使ったら危ないからね。その形から腕を引いて胸前あたりで拳を握り、腕でタメを作ってから、馬の首を平手で叩きねぎらう。池添謙一がGIを勝っても、なかなかこんな派手なポーズはとらない。しかし、藤田伸二GIIレースだろうがこれだけ喜びを表すことがある。
ちなみに、私が知ってる限りで最古の「藤田ホライゾン」は、チアズシュタルクが勝った2002年の毎日杯。それを見た当時、「GIIIでそんな喜ぶなよ」と思ったので強く印象に残っている。
ところで、「人気におされる」という競馬用語は「押される」のか「推される」のか、どっちが正しいのかと迷った。単勝人気とは短勝式への勝馬投票によって形成されるもので、つまりは「これまでのレース結果や、当日の状況などから推して考えられたファンによる未来予想」の結果と言える。だから「一番人気に推される」が正しくて、「一番人気に押される」は誤用なのではないかと考えた。調べてみたところ、スポーツ新聞各社とも「1番人気に推されるも7着」という使い方をされていたので「推される」が正しいと見て間違いなさそう。
ついでに「おさえ馬券」は「押さえ」と「抑え」のどちらが正しいのかと調べてみたところ、各新聞社とも「押さえ」で統一されていて「勝ったパルブライトの馬券も押さえていた」という使い方をされていた。なるほど。馬券の点数を抑える割には、怖い馬は押さえておく、という使い方がされるようだ。